n次元の球の体積の公式の導出
物理というよりかは数学ですね。
インプットも大事だけどアウトプットしないと抜け落ちちゃうので…
それでは早速
まず、n次元の球:q1^2+q2^2+q3^2+…+qn^2≦R^2の体積Cn(R)はR^nに比例するので
Cn(R)=An R^n …① (n=1,2,3,…)と表せる。
ここからAnを求めるために無限積分(ここではVnとおきます。Inだとアイとエル分からないので…)Vn=∫∫∫…∫exp{-(q1^2+q2^2+q3^2+…qn^2)}dq1dq2dq3…dqn …② (積分範囲は全て-∞~∞)
これらq1,q2,q3,…qnはn次元の軸にあたるので線型独立で、積分をそれぞれ分けることができ
Vn=∫exp(-q1^2)dq1∫exp(-q2^2)dq2…∫exp(-qn^2)dqn (範囲は全て-∞~∞)となり
ガウス積分の公式∫exp(-a・x^n)dx=√(π/a) (範囲は-∞~∞)より
Vn=(√π)^n=π^(n/2)…③ となります
ここで②よりVnをAnを含む式に変えて③と等号で結びVnを消去します。
半径rのn次元の球面の表面積をSn(R)とおくと
Sn(R)=d(An・r^n)/dr=nAn・r^(n-1) (表面積は体積の微分に等しいので)
このSn(R)に微小な厚さdrをかけたSn(R)drは
dq1dq2dq3…dqnの超体積要素と等しい。
また、半径rの球の表面積の方程式は
q1^2+q2^2+q3^2+…qn^2=r^2となるのでVnはrのみの積分に置換することができ、②は
Vn=∫exp(-r^2)×nAn×r^(n-1)dr
=nAn∫r^(n-1)exp(-r^2)dr
(積分範囲はrは半径なので極座標と考えると0~∞で全範囲をカバーできる)
ここでr^2=tとおくと2rdr=dt で積分範囲は変わらず0~∞になるので
Vn=nAn∫t^{(n/2)-1}exp(-t)×1/2×dt (積分範囲は0~∞)となり
Γ(n)=∫t^(n-1)exp(-t)dt (積分範囲は0~∞)より
Vn=(nAn/2)Γ(n/2) …④
(ガンマ関数についてはこんなブログに反応くれる方がいらっしゃったら詳しく書きます)
③④より
(nAn/2)Γ(n/2)=π^(n/2)
An={2×π^(n/2)}/{nΓ(n/2)} …⑤
①⑤よりn次元の球の体積は
Cn(R)={2×π^(n/2)/nΓ(n/2)}R^n
となる。紙に起こすとそんなに長くないので1度自分で導出してみると面白いと思います。
n=2を代入して計算すると円の面積πR^2が
n=3を代入して計算すると3次元球の体積4πR^3/3がちゃんと出てくるので計算してみるといいと思います。
もっと詳しく知りたい人はマセマの統計力学あたりに、検証踏まえた更に詳しい解説があったと思うので読んでみてください
次は…カノニカルアンサンブル理論の導出あたりやろうかなとか思ってます